Japaayurveda
日本人の、日本人による、日本のためのアーユルヴェーダのつもりが今のところ只の雑文録。
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第六章 その26 「汚染地域の野生ネズミの細胞変異」より
P259
ドテネズミ中の放射能量の減少は、1989年に観察された。1986年の初期のレベル以下に下がったのは1990年(約10世代後)からであった。1991年には、すべてのサイト(汚染区域)でガンマ線量率も体内放射能量の大幅に減少しており、したがって12世代以降の動物に対する被曝量も大きく減少したと考えてよい。
(中略)土壌汚染レベルの異なる地域に生息しているドテネズミの変異を観察した1986-1991年の調査結果は、多世代(1~14世代)にわたり、彼らの骨髄細胞において染色体異常や倍数性異常が、世代ごとに新たに発生しながら高いレベルにあることを示している。
2011年3月27日に、西日本新聞という余り耳慣れないソースでしたが(東電がスポンサーでなかったから書けたんでしょう)、ロシアの老科学者、アレクセイ・ヤブロコフ博士が(一々正論というか、正しい提言なんですが、当時は現政府とカスゴミによる大政翼賛会状態、大絶賛‘情報統制’中だった)日本政府のフクシマの事故過小評価を警告する。という記事をオンラインでも出していましたが、今は削除されているのでgoogleでググッた結果のキャッシュを長くなりますが、載せます。↓
『チェルノブイリ事故の放射性降下物は計約5千万キュリーだが、福島第1原発は今のところ私の知る限り約200万キュリーで格段に少ない。チェルノブイリは爆発とともに何日も核燃料が燃え続けたが、福島ではそういう事態はなく状況は明らかに違う。
だが、福島第1はチェルノブイリより人口密集地に位置し、200キロの距離に人口3千万人の巨大首都圏がある。さらに、福島第1の3号機はプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使ったプルサーマル発電だ。もしここからプルトニウムが大量に放出される事態となれば、極めて甚大な被害が生じる。除去は不可能で、人が住めない土地が生まれる。それを大変懸念している。
チェルノブイリ事故の最終的な死者の推定について、国際原子力機関(IAEA)は「最大9千人」としているが、ばかげている。私の調査では100万人近くになり、放射能の影響は7世代に及ぶ。
セシウムやプルトニウムなどは年に1-3センチずつ土壌に入り込み、食物の根がそれを吸い上げ、大気に再び放出する。例えば、チェルノブイリの影響を受けたスウェーデンのヘラジカから昨年、検出された放射性物質の量は20年前と同じレベルだった。そういう事実を知るべきだ。
日本政府は、国民に対し放射能被害を過小評価している。「健康に直ちに影響はない」という言い方はおかしい。直ちにではないが、影響はあるということだからだ。』
このヤブロコフ博士の提言の中で、「放射能の影響は7世代に及ぶ」とあって、その根拠がわからなかったのですけれども(だって人間の寿命からするとまだ到底7世代なんて経ってないじゃないですか)、この野生のネズミの研究を読んでようやく納得がいきました。
『ドテネズミの寿命は短く、1年間に新しく2~3の世代が生まれる。したがって、1986-1996年の間に約20~22世代を経たと考えてよい』
とこの元論文にもあったので、ネズミなど、ヒトよりライフサイクルの短い動物実験の結果を吟味した上で、上記のような発言になったのだと思われます。
この放射能汚染された地域に住む野生ネズミの実験には「続き」があります。
これまた政府の犬HKが、情報弱者のジジババが寝静まった深夜に放映したチェルノブイリ特集番組の一つ、第2夜の「被曝の森はいま」
というフランス放送局の放映した番組に、その「続き」が出ていました。
実験者はこの論文と番組とは同じではありませんでしたが、野生のネズミを捕獲し、細胞を採取して遺伝子などの変異を調べるという手法はほぼ同じでした。
つまり、この論文は事故直後から10年後まで、犬HK放映分は約25年後までのフォローアップをしていることになります。
この論文では、最後に、
『慢性的な放射線被曝のもとでは、遺伝子突然変異、ゲノム変異(高倍数性)、染色体異常といったすべてのタイプの変異において、生体組織の細胞の感受性が大きくなることを考えると、チェルノブイリ原発事故が広範な汚染レベル(われわれの調査は8~2351Bq/平米)にわたって動物や人々に遺伝学的な危険をもたらしていることを強調しておきたい』
と警告で終わっていたのに、このフランス製作の(というのがミソかもしれません。フランスは自他共に認める原発大国で、日本の今回の事故を一番忌々しく思っているのはフランスでしょう。原発推進したいんだから。そういう圧力が番組制作にもあるかも。という視点は失わないほうが良いと思います。科学者が金と権力に屈するのは日本で嫌というほど見てきましたから…東大とか東工大とか長崎大とかねっ!)番組では、
事故後25年近く経ち、野生のネズミは既に40世代ほど経過した。
どうです、見て御覧なさい。土壌汚染のレベルはさほど変わっていないのに、ワナにかかった野生のネズミは外見上、奇形はなく健康そうです。精細胞を調べても、変異は認められません。これは一体どうしたことでしょうか。
という感じで、ネズミのほうは低線量(即死しないレベル、という意味で)の慢性被曝で40世代ほど経過した結果、放射線で生じるフリーラジカルを除去する系統が体内で活性化されているので、フリーラジカルで体に老化につながるような酸化ストレスが発生してもすぐ除去されるので(ガンや奇形などの)異常は発生しない。
これはホルミシス効果(生物に対して通常有害な作用を示すものが、微量であれば逆に良い作用を示す生理的刺激作用をいい、特に自然放射線の人体への健康効果を指す。)だと思う、という論調だった。
原発御用学者たちが、「少量の放射線なら体に良いんだ」と語る根拠にしている学説だが主流ではない。
一方、汚染地域のツバメ(1年に1世代?だから事故後25年でやっと25世代くらいと思われる)は、こうしたフリーラジカル除去系統が活性化するまでいっておらず、羽の長さに左右差があったり、羽の一部に色素脱失が見られる、卵が通常の大きさの4分の1にしかならない、などの奇形が頻繁に見られ、1年生存率が3割にまで下がっている。
これは、非汚染地域から汚染地域に飛来し、ネズミのように対放射能能力を獲得する前に死滅し、空いたテリトリーに他の個体との競争を嫌って新しい流れ者ツバメが飛来し、放射能で死に、新しいツバメが流入し…をくり返しているためと考えられる。と番組では言っていた。
鳥類と哺乳類という点ではネズミのほうが生物学的には人間に近いが、ライフサイクルの長さで言うとツバメのほうが人間に近い。
仮に人間がネズミ並みの、放射能に対する抗酸化力を持ちえるにしても、40世代を経ないとその能力が獲得不可能だとしたら、人生60年まで日本の平均寿命が縮んだとしても、60×40=2400年もかかる計算になる。
よって取りあえず、わたしたちが生きている間には「放射能をものともしない」新人類の出現を見ることはないと言い切って良いであろう…人工的に遺伝子をいじりでもしない限り。
第六章 その29 「低レベル被曝の特殊性とリクビダートルへの影響」より
P290
しかし、最近のロシア国家放射線疫学登録のデータでは、リクビダートルや被曝住民において、さまざまな種類の病気の増加が記録されている。
まず第一に注目されるのは、ガンが一環して増加していることで、1990年に10万人当たり151件であったものが、1991年に175件、1992年に212件(同じ年のロシア男性全体のデータをリクビダートルの年齢構成に当てはめた値は128件)、1993年に233件(同140件)であった。
リクビダートルのガン発生率は、ロシア全体の値に比べ1993年には65%大きかった。
リクビダートルの内分泌系疾患は、対照レベルに比べ18.4倍、精神障害は9.6倍、循環器系疾患は4.3倍、全疾患では1.5倍になっている。表1に示すように、リクビダートルではさまざまな病気の罹病率が増え続けている。
チェルノブイリ事故の影響を被った人々の大部分に免疫系の中心的器官である胸腺と胸腺の中で発達するTリンパ球に関係している。これらの細胞の機能が害されると、ウイルスや微生物に対する防御、腫瘍に対する抵抗性、免疫反応のバランス維持といった機能が損なわれ、その影響は広範な形で生じる。
被曝した人々の血清中の胸腺ホルモン量は平均して3分の1から5分の1に減少し、それに伴ってTリンパ球の防御機能も3分の1から4分の1に低下している。
被曝を受けた人々では、免疫力低下がおきやすく、その結果免疫による防護機能も低下し、それがガンや感染症の増加へとつながる。
チェルノブイリ事故の被災者には、老化の際に現れるような、免疫力の変化が認められている。
西洋医学ではアンチエイジングへの取り組みは歴史が浅いですけれども、アーユルヴェーダでは、最初から、あります。若返りと精力増強、良い子孫を残す方法。
そして「同じ性質のものを与えるとその性質は増し、逆の性質のものを与えるとその性質は減少する」という非常にシンプルな治療原則があります。
一番卑近な例で言うと、「重い」という性質を持つアイスクリームを食べてばかりいると体重が「重く」なり、「軽い」という性質を持つお粥ばかり食べていると体重が「軽く」なるということからお分かりいただけるかと思います。
以前のエントリーで、放射能とはアグニビシャ、炎の性質を持つ毒のようだと書きましたが、この毒は人を老化させる性質も持っているということになります。
ということは、アーユルヴェーダの治療原則によれば、若返りの効能を持つ薬を与えれば放射能障害に効果がある、ということになります。
この分野での基礎研究が進むと良いと思います。